生活用品・家電からマスク・お水まで様々なオリジナル製品を展開しているアイリスオーヤマですが、近年は大型家電にチカラを入れ、現在(2021年)ではアイリスオーヤマの売上6割を占めるまでに成長しています。そこで、意外と知られていないアイリスオーヤマ製ドラム式洗濯機の人気の理由に迫ります。
アイリスオーヤマの家電開発スタッフは大手メーカー出身者多数在籍
アイリスオーヤマ大阪R&Dセンターでは、約120人のスタッフが商品開発に携わっています。アイリスオーヤマの印象は家電メーカーとの認識が薄いと思われがちですが、大手家電メーカーの人材を積極採用し、様々なメーカー系出身の開発者が知恵を絞って開発に勤しんでいます。
大手家電メーカーで洗濯機の開発を担当していた過去を持ち、現在のアイリスオーヤマ製ドラム式洗濯機の開発者でもある"家電開発部・山本憲太郎"さん曰く…
アイリスオーヤマという会社はアイデアを出せば聞いてもらえる土壌があり、ありとあらゆる可能性に対し1000本ノックを受けている感じ。
開発者のアイデアは積極的に取り入れ、且つ、より良いモノをリーズナブルな価格で実現するためのオペレーションが整った社風が開発者魂を刺激しているようです。
アイリスオーヤマのドラム式洗濯機は大手家電メーカーとの棲み分けを明確化
アイリスオーヤマは、2019年にドラム式洗濯機を投入。他社より4割ほど安い価格で他メーカーとの差別化を図る。
リリース当初、低価格を実現するため「乾燥機能なし」で販売したところ、それなりに売れたが、口コミはというと…
「乾燥機能のないドラム式洗濯機は不便」
との声が多いことがわかり改善に取り組む。
一般的には不可能なことをアイデアでカバーする独自性がユーザーの心をくすぐる
大手とは違った切り口でシンプルな乾燥ができるドラム式洗濯機を10〜15万円くらいの価格帯で作らなければならないという目標に対し、ヒーターやファンは、高価で高性能なものは使わずに標準的なパーツを採用。
大手の高性能パーツを使用した洗濯機の場合、乾燥時間1時間〜1時間半で乾くものが、アイリスオーヤマ製の場合、約倍の3時間もかかってしまうという欠点と、大手の高性能ドラム洗濯機には、服がシワになりにくいアイロン機能が備わっていますが、アイリスオーヤマ製の場合、100%乾燥だと綿素材はシワくちゃになってしまう欠点のダブルパンチに!開発は混迷を極める状況に。
アイデアの賜物「ふんわりシワ取りコース」搭載
そこで考案したのが「あえて80%乾燥で、短い時間干すとシワになりにくい」という服の特性を考慮し、シワになりやすい服に関しては、80%乾燥で止めた後に、ユーザーに短時間だけ干してもらう"ふんわりシワ取りコース"を追加。
他社ドラム式洗濯機の相場は安くても20万円超えは当たり前ですが「ふんわりシワ取りコース」を導入し、ユーザーにちょっとだけ手間をかけてしまうけど価格は他社より4割も安いドラム式洗濯機をリリースし価格以上に顧客満足度の高いと評判も良いようです。
さいごに
アイリスオーヤマの製品はホームセンター(ユニディー)で販売している、ちょっとランクの低い家電というイメージから、大手家電メーカーと、ちょっと違ったニーズを捉えて飛躍する家電メーカーへの位置付けに変わりつつあるようです。事実、アイリスオーヤマでは家電が売り上げの柱になっているので今後も目が離せません。